業務委託・面貸し・独立開業はどれが手取りで一番得?税理士が比較計算
監修: リージョナル総合会計事務所(税理士・公認会計士・経営革新等支援機関認定)
「業務委託で月100万売り上げてるけど、手取りはあまり変わらない」 「面貸しに変えた方が稼げる気がするけど、本当に得か分からない」 「いっそ独立した方がいいのかな?」
働き方の選択は美容師にとって手取りに直結する人生最大の選択です。 しかし、表面的な売上や歩合率だけ比較しても本当の答えは出ません。
この記事では、月商100万円の同条件で4つの働き方の手取りを税理士が完全比較します。

結論(3行)
- 手取り順は 独立サロン > 面貸し > シェアサロン > 業務委託
- ただし独立はリスク・労力・固定費が桁違い
- 「手取り」だけでなく労働時間と心理的負担も計算に入れるべき
比較条件(揃えた条件)
公平な比較のため、以下の条件で計算します。
| 項目 | 設定 |
|---|---|
| 月商(指名売上) | 100万円 |
| 年商 | 1,200万円 |
| 既婚・配偶者扶養 | あり |
| 居住地 | 東京都内 |
| 経験 | 10年(一般的なフリーランス美容師) |
売上の前提は「自分が直接お客様から受け取るベースの金額」とします(税抜)。
① 業務委託(売上歩合制)
サロンに業務委託契約で所属。指名売上の50〜60%が手取りベース。
| 項目 | 金額/月 | 金額/年 |
|---|---|---|
| 売上歩合(55%として) | 55万円 | 660万円 |
| 必要経費(道具・交通費等) | -3万円 | -36万円 |
| 課税所得(青色控除65万円考慮) | 約47万円 | 約564万円 |
| 所得税・住民税・国保・年金 | -約13万円 | -約160万円 |
| 手取り | 約34万円 | 約400万円 |
ポイント – 売上に対し約34%が手取り(年商1,200万→手取り400万) – 集客はサロン任せ、リスク低 – 売上を上げてもサロンに歩合の半分弱を持っていかれ続ける
② 面貸し(席使用料制)
サロンの一席を月額で借りて、売上は自分のもの。
| 項目 | 金額/月 | 金額/年 |
|---|---|---|
| 売上 | 100万円 | 1,200万円 |
| 席使用料(月20〜30万円) | -25万円 | -300万円 |
| 道具・薬剤・広告 | -10万円 | -120万円 |
| 課税所得(青色控除考慮) | 約60万円 | 約720万円 |
| 所得税・住民税・国保・年金 | -約20万円 | -約240万円 |
| 手取り | 約40万円 | 約480万円 |
ポイント – 業務委託より月6万円・年80万円多い – 集客は自分でやる必要あり(リスク中) – 席使用料は固定費なので売上が落ちると一気に苦しくなる
③ シェアサロン(月額利用料制)
複数の美容師が共同で使うサロン。月額固定で利用。
| 項目 | 金額/月 | 金額/年 |
|---|---|---|
| 売上 | 100万円 | 1,200万円 |
| 月額利用料(10〜15万円) | -12万円 | -144万円 |
| 道具・薬剤・広告 | -10万円 | -120万円 |
| 課税所得(青色控除考慮) | 約73万円 | 約876万円 |
| 所得税・住民税・国保・年金 | -約25万円 | -約300万円 |
| 手取り | 約48万円 | 約576万円 |
ポイント – 面貸しより月8万円・年96万円多い – 月額利用料が比較的安い分、固定費負担も軽い – 自由度が高く、面貸しよりリスク低
④ 1人独立サロン
自分のお店。10坪・1人運営想定。
| 項目 | 金額/月 | 金額/年 |
|---|---|---|
| 売上 | 100万円 | 1,200万円 |
| 家賃・共益費 | -15万円 | -180万円 |
| 水光熱費・通信費 | -3万円 | -36万円 |
| 設備減価償却 | -5万円 | -60万円 |
| 道具・薬剤・広告 | -10万円 | -120万円 |
| 課税所得(青色控除考慮) | 約62万円 | 約744万円 |
| 所得税・住民税・国保・年金 | -約21万円 | -約252万円 |
| 手取り | 約41万円 | 約492万円 |
| 投資回収後(5年目以降、減価償却終了)の手取り | 約46万円 | 約552万円 |
ポイント – 短期ではシェアサロン以下の手取りになることもある – 5年後以降、設備の減価償却が終わると一気に手取り増加 – 売上を上げれば上げるほど手取りに直結(伸びしろ大) – 初期投資400〜800万円・倒産リスクあり
比較まとめ表
| 形態 | 月手取り | 年手取り | 売上→手取り率 | リスク | 自由度 |
|---|---|---|---|---|---|
| 業務委託 | 34万円 | 400万円 | 33% | 低 | 低 |
| 面貸し | 40万円 | 480万円 | 40% | 中 | 中 |
| シェアサロン | 48万円 | 576万円 | 48% | 中 | 中高 |
| 独立サロン(短期) | 41万円 | 492万円 | 41% | 高 | 高 |
| 独立サロン(5年目以降) | 46万円 | 552万円 | 46% | 中 | 高 |
注:上記は税抜売上1,200万円ベース。インボイス制度対応や消費税判断は別途必要です(年商1,000万円超の場合、原則として2年後から消費税課税事業者)。
[税理士視点] 数字に出てこない3つの差
1. 労働時間
- 業務委託:8時間/日(拘束時間あり)
- 面貸し・シェアサロン:自分次第(6〜10時間/日)
- 独立:実質12時間/日(営業時間+経営事務)
手取り÷労働時間でみるとシェアサロンが最も時給効率がいいケースが多いです。
2. 経営事務の負担
独立すると以下の事務作業が発生します。 – 確定申告・帳簿付け – 設備修繕対応 – 集客・SNS運用 – 求人・スタッフ管理(雇う場合)
「手取りは増えたけど自分の時間がない」という声が非常に多い領域です。
3. 老後の資産形成
売上が増えても、何に投資するかで5年後・10年後の手取りが大きく変わります。 – 業務委託:基本的に給与所得感覚で消費しがち – 独立:小規模企業共済・iDeCo・経営セーフティ共済等で節税&積立が王道
これらを使うと、年間100〜150万円の所得控除が可能になります。
どれを選ぶべきか?判断軸
業務委託向き
- 集客が苦手
- 安定収入を最優先
- 副業・並行で何かやっている
面貸し・シェアサロン向き
- 自分のお客様がいる
- 集客できる自信がある
- リスクは取りたくないが手取りは最大化したい
独立サロン向き
- 経営も含めて自分でやりたい
- 5年以上の長期スパンで考えている
- 自己資金200万円以上+融資が見込める
まとめ
- 同じ月商100万でも手取りは月14万円も違う
- シェアサロンのコスパが意外と高い
- 独立は短期では損だが5年スパンで見ると最も伸びる
- 「税金・社保・節税の最適化」で手取りはさらに10〜15%変わる
精緻な手取り比較は、自分の売上・家族構成・地域で計算する必要があります。
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監修者プロフィール
リージョナル総合会計事務所 税理士・公認会計士・経営革新等支援機関認定(認定番号 ID:108011000203)。埼玉県さいたま市大宮区を拠点とする税理士事務所。関東圏の中小企業を中心に顧問税理士を担当し、美容室の開業準備〜法人化〜多店舗展開までワンストップで伴走しています。
